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【脊髄反射】新司法書士試験について思うこと

【脊髄反射】新司法書士試験について思うこと

今のところTwitterとかで話題になっているだけなので、本決まりではないのだろうけどやはり受験生である限り、この話題は避けては通れないかと思い脊髄反射的にブログにしてみる。

だから完全に新司法書士試験を理解しているわけではありません。でも聞きかじっただけの情報でも、俺は反対の意向を固められた。それほど、これは愚かしい改革だと思う。なので、間違っているかもしれないけど、今知りえた情報だけで、俺の思いの丈をぶちまけようかと思う。

  • 新司法書士試験とは
  • 反対の理由
  • それでも
  • 解決策として
  • 自分の人生として



新司法書士試験とは

法科大学院卒業生に受験科目免除を行う。司法試験予備試験の合格者にも同様に免除科目を設ける。

というもの、制度趣旨を理解はすぐにできる。要は法科大学院制度の失敗を司法書士試験に押し付けて、失敗をなかったことにしよう、という官僚の浅はかな責任逃れというわけ。

何年か前の司法試験改革によって弁護士業界が崩壊しかけて、その批判を逸らすために再び司法試験の難易度を上げて、それによって肝いりで作った法科大学院制度が崩壊しかけている。

法科大学院を卒業しても司法試験に合格できない、それなら予備試験に合格するしかない、受からない、大量の社会不適合者を輩出。というのが昨今の現実になりつつあり、法科大学院に入学を希望する人自体激減している。

現実として、司法試験を合格して、弁護士事務所に面接に行く時に、予備試験合格組と法科大学院卒業組、という区分けがされる。予備試験合格組は速攻で年収500万以上、法科大学院卒業組は年収250万程度になる。

何故こんなことが起こるかと言えば、予備試験組がエリートとみなされるからだ。法科大学院卒了して司法試験に合格しても、その価値を市場が認めていない。それほど、試験の難易度が違ってしまった。

試験の難易度を下げて、大量の合格者を出すことで弁護士の価値が下がり、案件に対しての値段が下がる。なんてことは火を見るよりも明らかであったにもかかわらず、行った司法改革。アメリカの真似をしたかったわけだ。

でも、誰だって考えてわかるけど、アメリカの訴訟社会と日本社会、子供だってわかるほど違う。価値観も違うし、生きている歴史も違う。そういうところにうわべだけのロースクール制度を無理やり組み込めば社会そのものが崩壊するのは目に見えていたはずなのに、それを学校の勉強しかできない、頭でっかちの官僚が行ってしまった。

誰だってわかる現実として、日本は訴訟案件自体が少ないし裁判所の数も少ないし、膨大な時間もかかる。最初から案件が増えないことが分かっているのに、そこに弁護士を大量に増やそう、ってのが愚かな発想なんだけど、それがわからないのが無能官僚と政治家。

昔の司法試験制度が欠陥であるというのも理解できるところではあるのだけど(難しすぎて大量の浪人生、自殺者を出した)、受け皿をそのままに具材だけを増やすなんてことをすれば零れ落ちるに決まっている。

そうして失敗した法科大学院制度、何億円、何十億円という負債だけを生み出した責任を何とか回避するために、その責任を司法書士試験に押し付けようと今しているわけだ。同じ失敗が起こることは火を見るよりも明らかなのに。

 

反対の理由

上記でも書いたように、同じ失敗が起こるよね。司法書士試験の価値の暴落が起きて、食い詰める司法書士が激増。ただでさえ世間的に認知されていない司法書士という存在がさらに無価値なものになっていく。

なぜそうなるかというと、合格者を増やすからだ。現在毎年1600名ほどの法科大学院の卒業生を合格者400名程度の司法書士試験で受けることは不可能だ。そこに司法書士試験専属の受験生もいる。となれば、必然的に合格者数を増やすことが求められてしまう。

合格者を増やして、司法書士を増やすことで社会がうまくいくのか? という問題を考えるに、結論としてうまくいくわけがない、というのは誰でもわかることだ。

ただでさえ、司法書士という仕事は結果が同じという評価されにくい仕事。登記は誰がやっても結果は同じ。弁護士のように腕次第で訴訟に勝つ、結果が大きく変わる、なんてことはない。確かに複雑かつ高度な登記は存在するが、それの結果が同じだから司法書士同士だったらその価値がわかるけど司法書士以外の人は全く理解できない。「プロだから登記出来て当たり前だよね」とか言われたらぐうの音もでない。

そんなお仕事である上、案件が増える可能性も現在ではほとんどない。ただでさえ商業登記では食べていけないから、不動産登記しかないのが現実で、不動産取引も今後下火になることはわかりきっている。

そんな受け皿がない状態というわけで、全く上記と同じ失敗が起こることが誰だってわかる。というか、仕事の差別化ができない以上司法試験以上の失敗になるだろう。司法書士の価値の暴落、大量の食えない先生が激増、試験の無意味化、汚い言葉を使いたくなる

「馬鹿じゃねえの?」

 

それでも

法に依って占有業務をいただいているのが、現実でもある。要は国によって仕事をいただいている状況でもあるわけだ。

その国の意向に逆らうことなんて、残念ながら、できるわけがない。

止めることはたぶんできないだろう。

じゃあ、今から受験生をやめるのか? という問いにはNo!とだけ言っておく。それでも勝負できるように自分に付加価値をつけて勝負していこうと考えているからだ。その意味での資格ぶん取り系だ。自分はそうやって勝負していく。

それで勝てるかどうかは今のところ未知数だけど、手札は多い方が良い。

国のおもちゃにされるのが、残念ながら資格という業界。煮え湯を飲んでもやっていくしかない。

 

解決策として

二つほどあるよね。

  • 司法書士の占有業務の増大化
  • 別の資格を創設

司法書士試験の合格者を増やしても社会が問題なく回るように持っていこうと思ったら、単純に司法書士の権限を増やして仕事自体を増やす

現在登記以外にも司法書士の業務はある。でも、占有業務は登記しか認められていない。その部分を増やすことだ。だけど、実際弁護士との競合や行政書士との競合から、そこに踏み込めないでいる。というか、ずっと弁護士会や司法書士会、行政書士会が今も占有業務を増やすために水面下でし烈な綱引きを行っている最中だ。そんな状態で占有業務を増やすためにはどうしても政治力が求められる。

「合格者を増やすんでしょ? だったらこのぐらいしなさい!」と政府に圧力をかけられか団体であるかどうかは、今の俺では知りようがない。

後は別の資格を創設すれば良い。法科大学院の劣等生たちを受け入れて仕事を与えることが出来る新たな資格を創設してそこに送り込む。弁護士の下位資格を作って最低限の食い扶持を与えることが出来ればよいわけだ。

簡単ではないだろうけど、今現在の司法書士の食い扶持を奪って大量の失業者を出すことが社会全体として得なのか損なのかわからないほど、官僚も馬鹿ではないだろうから何等か対策を練ってくれると信じている。

自分の人生として

司法書士を目指すにあたって、様々な要因があって、ここにたどり着いた人間だ。誰でも受験で来て、きちんとそのあと生きていける。そんな資格があった、自分でも生きていけるかもしれない、という希望が持てた、救われた。そう思った資格である司法書士。

確かに難易度は半端なく何度もはねのけられているが、それでも挑み続ける価値があると思えた。それを失うかもしれないと思うと心が痛む。

自分と同じような境遇の人たちが今後救われなくなってしまうかもしれないと思うとやり切れない思いも抱く。

できれば現状のままで、と思っているが、社会や世の中は常に流動的だ。それも理解している。甘い汁を永遠に享受したい! なんて愚かな考えであることもわかっている。

しかし、それで救われる人間もいるということは言いたい。元犯罪者の方とかも不断の努力で司法書士試験に合格して再出発できた、というニュースをこの間見たばかりだ。誰でも受験で来て、法律の知識のみを武器に勝負できる、そんな試験がこの世にもたらしている恩恵を国はきちんと見ていてほしい。

多くの俺のような人たちが救われる、そういう資格がこの世にはあるんだ。

脊髄反射的に思いの丈をぶちまけたが、2020年5月24日現在の俺の正直な気持ちでもある。今後の動向には注視していこうと思っている。

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