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【司法書士業務】司法書士補助士のお仕事とは? 実際働いてみた!

【司法書士業務】司法書士補助士のお仕事とは? 実際働いてみた!

結論から言えば俺の人生にとって失敗だったと言える。が、そうとも言えないところが人生の奥深いところでもあり、何を言っているのかと自分でもよくわからない感じになっているが、司法書士事務所に勤めたことが、自分の人生にとって有益だったか否か? ということは一生考えねばならないことかもしれない。それほど、メリットとデメリットがあった。受験生で軽々しく司法書士事務所に勤めようとするなら気を付けた方が良い、とだけ今は言っておく。

  • 司法書士補助士とは
  • 不動産登記
  • 商業登記
  • その他の業務
  • 業務のしんどさ
  • 将来性
  • 今後について

司法書士補助士とは

まず資格者しか当然として司法書士としての業務はできない。独占業務だからね、やったら司法書士法違反で捕まる。でもすべての業務が司法書士でなければできないというわけではない。実は結構限定的で業務の最後の印鑑を押す部分とか、確認をする部分などが資格者でなければできない、と規定されている。

ということは、その前提までは資格者以外が行える、というか、司法書士の業務全体から見ればほとんどの業務が司法書士以外の無資格者でも行える業務となる。

と、なると司法書士資格者にはそういった重要業務のみ任せて、ほかの作業を無資格者にやらせようという考えになるのは当然といったところだろう。資格者には責任を、無資格者には業務を、という振り分けとなる。

それを行うのが司法書士補助士というわけだ。求人にもそこそこ載っているこの司法書士補助士という業務の内容は、それこそほかの業者との折衝から段取り、銀行回り、資料整理など多岐にわたることになる。

すぐに独立できる司法書士という資格だが実際のところ具体的な業務実態は試験勉強しているだけでは想像もできないほど奥が深くめんどくさい仕事になる。

不動産登記の業務内容

言わずと知れた司法書士の太客、不動産登記。なので、いろいろなパターンが存在する。銀行につくパターン、不動産屋につくパターン、野良のパターンなど。ほとんどが、何かの専門業者につく人がほとんどだろう。

専門で食っていけるほど利益率が良いのも不動産登記のおいしいところだろう。銀行についたら抵当権専門の司法書士に、不動産屋だと移転、保存登記の専門でやっていける。顧問契約を結べるような司法書士は珍しい。一部の大手ゼネコンに付いた先生が契約をしているようだが、実体としてほとんど全司法書士の1%に満たない数だろう。

大型マンションなどの登記が入ったらそれだけで1年食っていけるほどの儲けがでるそうだ。

業務としては

依頼→資料収集(不動産評価証明書、公図、登記簿など)→計算(見積など)→本人確認→決済

という流れになる。補助士が出来ないことは本人確認と決済のところ。1日3件以上の案件を抱えるほどの事務所でなければ基本先生一人でできるぐらいの業務だ。なのでほとんどの司法書士事務所は補助士を必要としていない。

それでも雇っている小さな事務所の補助士はほとんど電話番という仕事が中心になる。先生の目が光っている事務所にいるより資料収集で出かけるのが結構楽しい作業になったりする。

幅広く新築を売っているような業者と取引しているような事務所だと結構いろいろな市役所や法務局を飛び回ることになる。日本がいかにアナログで、無駄に税金が投入されているということを肌身に感じることになる。

初めて補助士になった人は計算の作業が多く、意外にややこしくて、びっくりするだろう。登録免許税の計算も試験とは違うし、非常にややこしく面倒くさい。あれ? 俺文系だったのに、なんて思ってとまどうことになるので、もし働きに行く人は覚悟しておいた方が良い。

そして、試験と実務の乖離にも戸惑うことになる。実務の知識が試験の邪魔になってしまうので、そこも覚悟しておいた方が良い。実務経験が試験に役立つことはほとんどないだろう。

商業登記

実はほとんどかかわったことが無いので噂程度でしかしらないが、不動産登記よりやる種類が多いようだ。役員変更から本店移転、商号変更など様々にあるが大企業は基本自社の法務部が自分で登記できるのであまり依頼はないらしい。稀にあるとしたら大掛かりな登記になるので、結構仕事に忙殺される。

基本内部問題を登記簿に反映させるのが商業登記の実体。依頼されて登記簿を取り寄せてみてみると結構ごちゃごちゃに登記されていたりして、いろいろ密に問合せしないと危険だ。しかし、基本株主総会議事録次第でどうにかなる事例が多いので、きちんと議事録に記載するように指示すればどうにかなることが多い。(株主総会議事録はほとんどが形骸化している)

あと、商業登記は不動産と違い結構緩い。却下がでても補正すりゃいい、ってなノリなので、専門でやっている先生でも緩いノリでやっている人が多い。

そういうこともあるのだろう、やはり利益率が悪い。商業登記専門でやっていける先生は結構稀で大手企業と専門契約を結んでいるような先生でない限り相当頑張らないと難しい。

補助士の出番もほとんどなく、基本電話番扱いになるだろう。それも企業との電話は基本先生でなければ対応できないので、迷惑電話の仕分けが業務になる。あとはひたすら郵便局と法務局の往復がメインの仕事になるだろう。補助士というよりただの事務員といった感じになってしまう。

その他の業務

後見人などの業務がある、今後この手の分野の業務は拡大していくと思われるが、残念なことに結構煩雑で土日深夜問わず電話連絡がくることになるため嫌がる先生が多い。何より独居老人が多く意思疎通もうまくいかないし、福祉的な側面が大きいため利益としての側面が小さく割に合わないと考える先生が多い。

認定司法書士限定だが簡易裁判の代理業務だが、都心ではほとんどないと考えて良いだろう。地方では弁護士が少ないため、結構案件があるそうだが少しでもこじれたらすぐ地裁に飛ばされるのでお役御免になってしまう。

例の過払い金請求はもう焼き畑産業なのでほとんど残っていない。新規で参入するのは相当厳しいだろう。

相続関係は弁護士、行政書士と被っているし、土地がらみの相続となると血生臭い展開が起こることが多いので基本弁護士と税理士がメインになる。最後の登記の場面以外出番はないだろう。

それに、最近は総合事務所が一手に相続を引き受ける場合が多い。基本煩雑な相続というイベントは様々な士業を渡り歩くことになりかねなく、総合事務所の方がクライアントも一か所で済むので楽だ。

業務のしんどさ

基本補助士、なので、読んで字のごとく補助するのが仕事。カバン持ちで先生にくっついていくことが多く、決済の横で片身狭く縮こまっていることが多い。肝心なところで何もできないのが司法書士補助士の運命。

さらに小さな事務所だと先生=神、となっていることが多いのでパワハラ先生も多く暴君と化した先生にひたすらいびられる、なんてことになっている場合も多い。

あと、これはノリなのか知らないが、司法書士事務所はゆっくりと業務を教えるという考えの事務所が少ないようだ。大体、入ったら業務をひたすら叩き込まれる。それこそ試験勉強で疲れた頭で事務所に行こうものなら、全く頭に入らないことになりかねない。業務を覚える為に頭に余裕を持たせたら、こんどは勉強が全くできない、なんてことになる。

頭の良い人以外は半年は苦しむことになるだろう。勉強に余裕のない人は基本司法書士補助士として勉強ついでになるということはやめておいた方がいいだろう。

結構肉体的にもしんどいことが多い。基本電車移動で歩く距離も長く一日中電車と歩きの日々にぐったりして帰宅することになるだろう。そのあと勉強するなんてことは俺にはできなかった。

将来性

将来自分で事務所を開くときに参考になったかと言えば、かなりなった。実際に働いてみないとわからない細かな業務のやり方や、注意すべき部分、必要になるものなどを実際に見てとれた。まあ、試験後の研修で教わるところかもしれないが。

様々な重要書類が乱舞する事務所内で管理する重要度、試験で習った登録免許税の計算方法が全く使えないこと、添付書類の違いなど、勉強になったことは枚挙にいとまがないほど。だが、受験生の皆さん安心してほしい。受かってからほんの数か月働くだけで身に付きます。受験生の段階で司法書士補助士になることはコスパ面で全く役に立たない。

止めることをお勧めする。

今後について

司法書士そのものの将来性を語れば、非常に暗い話題になるだけだから今は語らない。また、別の記事で書こうとは思うが、AIに乗っ取られる最初の業務だろう。でも役所があのノリなら後10年は大丈夫だろうが。でも今回のコロナショックで一気にそれが加速する可能性もある。余談は許されていない。

それでも目指すというのはある種意地かもしれないし、追い詰められた末のあがきかもしれない。自分自身でもコスパの悪いことをやっているという自覚はあるが、やるからにはやり遂げる、という鉄壁の意思をもって臨むしかあの難関資格を取得するすべはないと考えている。

やるしかないのだ。

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